恋色シンフォニー

三神くんの言葉で、キラキラ二人組に圧倒されていた気持ちを立て直した。

「あの、私、帰ります……。失礼しましたー……」

「ちょっと待って、送って……」

「じゃあ、オレが送ってく!」
設楽さん、と呼ばれた男性が手を挙げた。

「行こう行こう!」
設楽さんが私の肩に手を回した……
途端、三神くんの鋭い声が飛んだ。
「龍之介!」
設楽さんはパッと手を離す。
「をーこわ。行こう、えーと?」
「橘です……」
「下の名前は?」
「橘さん! 名乗る必要ないから! そいつに気をつけて!」
「失礼だなー」
この2人、仲がいいのか、悪いのか?

早瀬さんは、少し離れた場所から、腕組みをして、じっとこちらを見守っている。

こちら……ではない。
三神くんだ。
じっと、三神くんを見つめている。

気づかなければよかった。
そんな熱のこもった視線。

……何だろ、胸に重いものがつかえた。
二日酔いかな。きっとそうだ。
胸がざわざわするのを押し殺す。

残る2人に会釈をして、荷物を持ち、三神家を後にした。