恋色シンフォニー

第二曲、カランダール王子の物語

第三曲、若い王子と王女

第四曲、バグダッドの祭りー海ー船は青銅の騎士のある岩で難破ー終曲

実際のアラビアン・ナイトには、これらのお話は存在しないらしい。
自由にストーリーや情景を想像して楽しめるのが、この曲の魅力なはずなのに。

三神くんのせいで、雑念が入り、純粋に曲を楽しめない。

姫の語りと物語の世界が交互に訪れる。
ヴァイオリンソロがシェヘラザード姫の美しい語りを奏でるたび、胸が震える。

曲が進むごとに、姫の語りは情熱的に変化してきた。
気品を保ちつつも、艶やかで……色っぽく。

音楽は、その人の人となりがあらわれるというけれど。
三神くんの本当の姿は、こんなに情熱的で色っぽい、っていうの?



クライマックスで盛り上がった後。

静かなヴァイオリンソロで曲が終わりにさしかかる。
甘い音色は、愛のささやきに聞こえる。



最後の幻想的なフラジオレットの音が消えていく。

響きがホールに溶けてなくなるまで、夢の世界を味わって……
余韻まで味わいつくし、ホッと息をつく。