恋色シンフォニー



そうして、やってきたのは、圭太郎のご両親が眠るお墓。

「華子先生とあいつ、寄ってくれたんだ……」
少ししおれたお花を見て、圭太郎が言った。

お花を取り替え、掃除をしながら、ふと気になったのできいてみた。

「ねえ、圭太郎のご両親ってどんなお仕事されてたの?」

「……引かないでね」
言い淀み、断りをいれるとは、さて……?

「医者。両方とも」

……そうですか。
お坊ちゃんで頭がよくて、いい楽器買えたのも納得。

「綾乃のご両親は?」

「父は公務員。母は専業主婦。母は結婚して仕事をやめたけど、“女も働いた方がいい”が持論で、私にずっと言い聞かせてた。おかげで、こんなになっちゃったけど。
今度、行こ。田舎だから、引かないでね」

「うん。楽しみにしてる」

お線香をあげて。
2人で並んで手を合わせる。


ーーー不束者ですが、全身全霊をかけ、圭太郎さんを愛することを誓います。



私達を爽やかな秋の空気が包んでいた。