恋色シンフォニー

「結婚。するよね?」

うー。
くやしい。
この……腹黒ヴァイオリニストめ……。

「圭太郎はずるい。いつも、追い詰めて、逃げ場をなくすんだから」
ってか、どこ触ってんのよ!
「こら、やめ……」
「やだ。返事。意地はらないで、素直に、はい、って言えばいいんだよ。僕のこと、大好きなんでしょ?」

「……キス、してくれたら、考える……」

圭太郎は体を倒し私の上に覆い被さる。
密着する素肌が、気持ちいい。
圭太郎は唇が触れ合う寸前で、動きを止めて、黒い笑顔を浮かべている。
もう。
私は我慢できずに、圭太郎の首を引き寄せ、目の前の唇を塞いだ。
唇で情熱を交換し合う。
たくましい背中に腕を回す。
脚を絡ませる。
圭太郎も、私をきつくきつく抱き締める。
これ以上ないくらいに、お互いの体が重なり合う。

……ああ、大好きな人とひとつになるって、何て幸せなんだろう。
至福としか言いようがない。


「いいよ。結婚しよ。
私だけの圭太郎になって」


「もう、とっくになってる。
綾乃も、僕だけの綾乃だからね」