恋色シンフォニー



「で、綾乃の感想は?」

お風呂上がり、寝室でお互いストレッチをしながら、圭太郎がきいてきた。

……そうだよね。まだ言ってない。

っていうか、何て言っていいのか、悩んでたのよ!

「……圭太郎はどんなこと思って弾いてたの?」

圭太郎はニヤっと黒い笑顔を見せる。

「それは秘密。弾いた音楽が全てだよ。解説はしない。どうぞご自由に、解釈するなり想像するなりして?」

……すごくかっこいいこと言うけど、意地悪。

私はヨガマットの上で正座する。
一転、優しく微笑んでいる圭太郎の瞳を見つめて、言った。

「……幸せだった。一生忘れない。
ありがとう」

……これが精一杯。