恋色シンフォニー

「それから、次回定演のプログラムが決まりました」

「わあ、何?」

「マイスタと火の鳥とベト5」

オーケストラには略語が多い。

ワーグナー『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲
ストラヴィンスキー『火の鳥』
ベートーヴェン『交響曲第5番』通称“運命”

です。

今回はバラエティ豊かだなぁ。

「楽しみ!」

3曲とも、ヴァイオリンかっこいいし。
火の鳥はほんのちょびっとヴァイオリンソロあるし。

「マイスタは私も入学式と卒業式でセカンド弾いたなぁ。弾ききった達成感があるせいか、これは聴ける」
「よかった。メンコンでコンミス引き受けてくれた、本来セカンドトップのリクエスト」
「あーわかる。セカンドおいしいもん」
「言ってた。ちなみに、ベト5は僕がやりたかったんだ」
「へー。メジャーすぎて嫌がられなかった?」
「そこはソリスト引き受けた時の交換条件で」
「指揮者は? 早瀬さん?」
「いや。男の人。早瀬さんは、来年に向けて交渉中」


そんなおしゃべりをしながらごはんを食べて。
お茶を飲んで。
お風呂に入って。