そういえば、元彼とは、喧嘩したことない。
喧嘩にならないように私が折れていたし、向こうが怒ったら突き放されて、私はおろおろして泣いているだけだった。
こんな風に、ぶつかってきてくれて、ちゃんと話して、分かってもらおうとするなんて、……やっぱり、三神くんはすごいと思うし、私はつくづく幸せ者だと思う。
「それから……僕と早瀬さんとのこと、気にしてる?」
……本題がきた。
「……してない、とは言えない」
「彼女とは、何にもないから」
三神くんが苦笑いしながら言った。
思わず、文句が口から飛び出してしまった。
「名前で呼んでた」
「やっぱり……。ごめん。彼女に昔、苗字が嫌いだから名前で呼べって言われて、呼んでたから、つい……」
「早瀬、が嫌い? 素敵なのに」
「いや、彼女、結婚してるから、旧姓が……」
「はっ⁉︎ 結婚してるの⁉︎」
「幼い頃からの婚約者と、18歳で結婚してる」
はあぁぁっ⁉︎
早くそれを言ってよ!
何だったの、私の嫉妬……!
そして、どれだけお嬢様なんだ、早瀬さん。
「ごめん、無神経に話したり名前で呼んだりして……。早瀬さんに言われるまで、気づかなくて……」
言ってくれたの? 早瀬さん。
「だから」
三神くんが、切なそうに、端正な顔を歪めて、言った。
喧嘩にならないように私が折れていたし、向こうが怒ったら突き放されて、私はおろおろして泣いているだけだった。
こんな風に、ぶつかってきてくれて、ちゃんと話して、分かってもらおうとするなんて、……やっぱり、三神くんはすごいと思うし、私はつくづく幸せ者だと思う。
「それから……僕と早瀬さんとのこと、気にしてる?」
……本題がきた。
「……してない、とは言えない」
「彼女とは、何にもないから」
三神くんが苦笑いしながら言った。
思わず、文句が口から飛び出してしまった。
「名前で呼んでた」
「やっぱり……。ごめん。彼女に昔、苗字が嫌いだから名前で呼べって言われて、呼んでたから、つい……」
「早瀬、が嫌い? 素敵なのに」
「いや、彼女、結婚してるから、旧姓が……」
「はっ⁉︎ 結婚してるの⁉︎」
「幼い頃からの婚約者と、18歳で結婚してる」
はあぁぁっ⁉︎
早くそれを言ってよ!
何だったの、私の嫉妬……!
そして、どれだけお嬢様なんだ、早瀬さん。
「ごめん、無神経に話したり名前で呼んだりして……。早瀬さんに言われるまで、気づかなくて……」
言ってくれたの? 早瀬さん。
「だから」
三神くんが、切なそうに、端正な顔を歪めて、言った。
