恋色シンフォニー


びっくりして、言葉にならない悲鳴をあげると、

ーーー三神くん⁉︎

息を切らして、汗をにじませた三神くんが、私の腕を掴んでいる。

「え、あれ、コンマス? なに、ふたり、知り合い?」

加地さんが戸惑っている。

「僕の、恋人です」

な。
なに、こんなとこで宣言してるの。
しかも、恋人とか、普通恥ずかしくて言わなくない?

「え、橘が、コンマスと? なんで?」

「同じ会社なんです」
私が加地さんに言う。

「わーお、まじで? すげー。世間って狭いな! 何だよ橘。さっきの話の中で言えよ〜」

「すみません」

「と、いうわけなので、そろそろ、よろしいでしょうか」

「ああ、待ち合わせしてたの? わりーわりー。じゃーな、おふたりさん。お互い頑張ろうぜ!」

ガッツポーズを作り、エネルギーを振りまいて、去っていく加地さん。

すごい。相変わらず熱かったな。

……熱かったけど、ここには、暑そうな人がひとり。

「……やば」

わっ。

いきなり、三神くんが私の肩に頭を乗せた。

色っぽいとかそういうのではなく。

「……全力疾走したら、くらくらする」