恋色シンフォニー



後半は、ブラームスの交響曲第1番。
演奏会でよくとりあげられる人気曲。

この曲は私も大学の時に弾いたことがある。

憂いを帯びた、重厚な響き。

数小節聴いただけで、まずいな、と思った。

息が浅くなる。

落ち着いて、と自分に言い聞かせる。
深呼吸。深呼吸。

オーケストラの音が、うねるように響いてくる。
頭の中では、ファーストヴァイオリンのパートがくっきりと浮かび上がる。
7年経っても、まだ覚えているなんて。


頭が痛くなってきた。
この曲、長いんだよね……。
とてもじゃないけど、最後まで持ちそうにない。

こうなると、コンサートホールでの生演奏は地獄だ。
逃げ場がない。
基本、入退室は楽章の間にするのがマナー。
楽章が終わるまで耐えるしかない。
第1楽章だけでも15分くらいある。

大音量に、身をよじりたくなる。
つらい。

まいった。
こんなことになるなんて。

曲の進み具合がわかるのだけが救いだ。