君色のソナチネ





響きを聴きながら、指を離し、ペダルをあげる。


「フーーっ」


伝わったかな?


短い曲なのに、いろいろ詰め込まれた、結構壮大な曲。


伝わってたらいいな。


そう思いながら、椅子から立ち上がりお辞儀をする。


あれ?


みんなキョトンとして、拍手してくれない。
そんなに酷かったのかな?


ーパチパチパチ


そう思っていると、1番前の席から拍手が聞こえてきた。


それに続いて、気付いたように、みんなも拍手をしてくれる。その間はなんだったの?



そう思いながらも、みんなが、必死に拍手をしてくれるから、とりあえずよかったぁ。と安心する。


そして、舞台から降りる。


「純怜よかったよ〜‼︎」


華菜が駆け寄ってきてくれた。
にこっと微笑む。


「う〜んと、自然でしょ?水の一滴から大河になって、海に注ぐみたいな。あとは、地球の偉大さ?かな。」


「大正解‼︎流石だね、華菜。」
ほんと、よく分かっていらっしゃる。


「あれで、わからない方がおかしいよ。純怜って、嫌でも曲の世界に引きづりこんじゃうんだよ?絶対自覚してないでしょ?」


「嘘だ〜‼︎
私、そんな恐ろしいことしてないよ〜‼︎
感じ取れる華菜が凄いんだよ‼︎」



「はぁ〜。
まぁ、そういう事にしとくわ。
言っても分からないからね、純怜には。」


「うん?」


「いや、なんでもないの。
いつか分かる時が来るわ。」


「またそれ〜?」
最近、それが口癖みたいになってる華菜。


「だめなの?」


「いや、華菜がそういうなら、そうだと思う。」


というより、華菜の有無を言わせない顔を見たら、そうやって頷くしかなかった。