「…思い出した…。貴女が私のお母さん…。」


薄い意識の中でハッキリと思い出した昔の記憶。


それは辛くて怖くって悔しい最悪な日の記憶と、甘える事すらできなかった日々の記憶。


最後まで幼い私の中に渦巻いていたゴメンナサイの気持ちを口に出す事はできずに、お母さんはあの後天国へ旅立ったんだ。


全ては私が悪かった事で。


「…ゴメンナサイ。上手に弾けなくてゴメンナサイ。」


今更だけど、天国のお母さんへごめんねの気持ちを伝えよう。


ずっとその気持ちを背負って私は生きなければならないと思うんだ。


私のせいでお母さんは事故を起こしてしまったのだから。


私がピアノを上手に弾けなかったから。

自由に遊んで弾いてしまったから。


ゴメンナサイ、お母さん–––––––––





そうやって気を飛ばした。