「でも、もう教えてあげなーい!
決定事項だし、純怜の参加は絶対。」
ええええーーー!
あんなに懇願したのに?
教えてくれない上に、人の予定無視ですか、樹音さん。
「神峰くんにも了承して貰ってるから大丈夫よ。」
冷静にそう言ってる華菜だけど…、
「なわけないでしょ!
奏は私の親かっ、マネージャーかっ!!」
これで奏は否定してくれるだろう…。
なんて思ってたのに、''あぁ、それもいいな。''なんて隣で呟き、顎に手を置き考え始める奏。
「よくないよくなーい!
冗談をまにうけるなーーーー!!」
「そうか?
お前の為なら、俺はピアニストを捨ててでもマネジメントしてやってもいいと思ったんだが…?
それくらい、俺はお前の音楽にも惚れ込んでる。」
「…。」
なんで今それ言っちゃうかなぁ。
殺文句だよね…?
照れないわけ無いじゃん。
「だめだよ…。奏に稼いでもらわないと…。」
「「「「「え、そこっ??!!」」」」」
「いや、今のは本当に冗談。うん。
ごめん、奏。」
「いや。」
「それに、私だって奏の音楽に惚れてるんだから、ピアニスト捨てるなんて許さないよ。」
「あぁ。」
「あの、お二人さん、イチャつかないで貰えます?じゃないと俺も発情しちゃうんで。」
「ちょっと、新矢やm」
「なぁに、華菜、なんか俺悪いことした?」
「いや、したようなしてないような…。」
「じゃあキスしてもいいよね?」
「はっ…き、きすぅ??!」
え、キスすんの?
まじ?
「純怜…、」
え?
奏に抱き寄せられる。
おいおいおいおい、あなたまで発情しないでよ。
日本だよ?
ここ、学校だよ?
昼休みだけど、先生もいないけどさ、廊下でもなく、階段の踊り場でもなく、教室だよ?
いやいや、こう言ったら、学校でキスしたことがあるって誤解をうけるかもしれないけど、決してないから。
「すみませんが、そこの4人っ!
それぞれ他でやって。
ね、弦っ!」
「いや、俺は別にいいけど。
彼女出来た時の参考になるし。」
「はぁ?もう、みんなしてなんなのっ!
私もルイのところにいってくるからっ!
純怜っ!華菜っ!5時間目サボる。」
え、あの誰よりも真面目な樹音が、さ、さぼる〜?
「純怜、ちゃんと夏祭りの日、空けといてよ〜!
じゃあっ!」
あ、いっちゃった。
「…夏祭り?」
「あぁ、春咲と夏川がさっき俺たちの所に来て、夏祭りいかねぇかって誘ってきたんだ。
てっきり純怜も行くもんだと思ってたんだが、またお前、適当に返事してたんだろ。」
「へぇー、夏祭りね。
…ってことは奏も一緒に?!」
「あぁ。」
「嬉しいけど、コンクールあるんだよな…。」
「まだ先だろ?」
「そうだけどさ…。」
コンクールまで綿密に計画立ててたのに〜。
人混みだってあまり好きじゃないのに。
まぁいいか。
「分かった、いく。
それにしても、樹音と宮田、よく一緒にいくってなったね。
気つかわないかな?」
「あぁ、なんか夏川は先輩連れてくるみたいだが?
まぁ宮田はあの性格だからな。
気にしないんじゃね、そういうの。」
「あー、なるほど。
そっかぁ、トリプルデート+宮田?
あっちゃんと雪ちゃんは?」
「あぁ。あの2人は丁度コンクールが被って行けないって騒ぎまくってた。
まぁ、また一緒にいけるだろ。」
「そっかぁ。残念。
だけど面白そうっ!」
「でも純怜、無理するなよ。
キツくなったらすぐに言え。」
「もう、大丈夫だってば。」
「いや、絶対だ。
それだけ約束しろ。」
「…うん、分かった。」
そうやって、奏に笑うと、奏も安心してくれたみたい。
みんなと夏祭りか…。
私、こういうの初めてだなぁ。
楽しみっ!
あぁ、はやく夏休みにならないかなぁ。
夏=コンクールな私にとって、夏休みはマイナスイメージしかなかったんだけどなぁ。
初めて夏休みがはやく来て欲しいと思えたことに少しの間、感動していた。ーーーーー

