ー純怜sideー
あれ、ここはどこなんだろう。
さっきまで、確かに教会にいたはずなのに。
ぼんやりとした世界。
ある筈の空も地面も何も無い、真っ白な空間が私の周りにただただ広がってる。
異様なまでに不自然な白い空間に1人佇む私。
不気味な感じに、思わず鳥肌が立つ。
「もう、なんなの、ここ。」
怖すぎる。
でも、とりあえず進んでみなきゃ。
こんな訳のわからないところから、早く出たい。
あてもなく、この空間を彷徨ってみる。
と、いきなり現れた真っ黒なグランドピアノ。
「さっきまでなかったのに…。」
不思議に思っていると、体が勝手に動く。
止まろうとしても、体が言うことを聞いてくれない。
まるでピアノに引き寄せられてるみたい。
「やだよ…。」
怖い…。
強制的に支配されるこの感じ、なんだか身に覚えがある様な…
…分からない。
いつのまにかピアノの椅子に座ってた。
いったいなんなんだ。
勝手に動く腕、鍵盤に乗る手。
「何か弾きたいの…?」
私の声を無視して、私の手はピアノを鳴らしだす。
その音は、自分でも信じられないくらい無味無臭。
何の味気もない、何の香りもしない、ロボットが弾いているかのような音。
それはまさに、異様なこの空間とピアノのような、
''モノクロ''。
すぐにやめたいのに、直したいのに、手が勝手に動くんだ。
ぼんやりと顔の上の方に見えてるのは楽譜…?
あぁ、たぶん、楽譜は、下を向いて鍵盤にかじりついてるから見えてないんだ。
意識にないんだ。
だからぼんやり、なの?
だからこんな音?
「''何で言ってる通りに出来ないのっっ!''」
その時、聞こえてきた声。
これって、さっきの…?
体が震える。
「や、ちが、…」
手が動かないの!!!
その声の主に伝えたいのに、言葉がでない。
やだ、怖い。
もう、何なのよ。
「''何で言ってる通りに出来ないのっっ!''」
いやーーーーーーーー!!!
''…ゃん!…ちゃん!すみれちゃん!!」''

