「お、うわっ。」
あれ?なにその驚き様。
「…奏?
…あの、ごめん、その遅れて。
でも、30秒くらいでそんなに怒らなくてもよくない?」
「おい、純怜か?」
「…へ?」
「はぁー、やっちまった、俺とした事が。」
「えーっと…?」
訳が分からないんですけど…、
なんなのこの状況?
「俺、なんか言ってたか?」
「…30秒…?
だから私、30秒遅刻したのかなぁ、なんて思ってたんだけど…?」
「悪い、考え事してた。」
「奏が考え事?
珍しいよね?」
「あぁ、ちょっとな。
まぁ、それは後から付き合ってくれ。」
「うん?」
「それより純怜、俺のこと、30秒の遅刻で怒るほど心の狭いやつと思ってたのか?ひでぇ。」
「い、いや、そ、そんなこと…」
考えてしまったから何も言えない。
でも考えたくなかったのは事実。
「まぁいいよ、俺が考え事してて、お前に気が付かなかったのが悪い。
時間になったら玄関まで迎えに行こうと思ってたんだがな。」
え、奏、もしかして早くに来てたんじゃ…?
「奏、どれくらい待ってたの?」
「あ?んな事どうでもいいだろ?
それよりお前、走って来ただろ?
せっかくの可愛い格好が台無しだ。」
い、今可愛いって言ったよね?
か、かわいい…。
「うきゃーっ‼︎」
そう思ってたのに、いきなり肩に担がれ、現実世界に引き戻される。
「な、なに?おろしてーっ‼︎」
私は米俵かっ‼︎
ワンピース着てるんですけどっ!
「すぐだ、ジッとしてろ。」
ほんとにすぐで、私の家の門から中に入ったと思ったら、いつも庭師さんが綺麗に手入れしてる五葉松の隣にある腰の高さくらいの岩にゆっくり降ろされた。
「庭師さんに怒られるよ!」
「大丈夫だろ、松に乗ってるわけじゃねぇし。
ほら、足みせろ。」
そう言って奏は私の足を取り、靴を脱がせた。
「やっぱりな…。」
ん?なにがやっぱり?
「っいたっ!」
そう思っていると、踵に痛みが走る。
「嘘…、私靴擦れしてたんだ…。」
「そこのコンビニ行ってくる。
このまま待っとけよ。
すぐ戻るから。」
「うん…。」
こんなんじゃ動きたくても痛くて動けないよ。
昨日買った白いハイヒール。
初めてのデートだったから、張り切りすぎたかな…。
でも、奏に可愛いって言われたくて頑張ったんだもん。
結局迷惑かけちゃったな…。

