ー華菜sideー
「ねぇ、樹音。神峰君ってあんな人だったかしら?」
「…ううん。
特に、純怜の扱いは酷かったっていうか、からかいまくってたよね?あれもからかいのうちなのかもだけど。」
練習中。
あっちゃんが純怜を褒めたててから、なぜかこんな状況になってる。
あの2人、自分たちの世界に入ってて、私たちが見えてないのね。
いや、もしかしたら、神峰君はわざとやってるのかしら。
純怜は全く周りが見えていないみたい。
パニック状態なのがみえみえ。
「女子にしてみたら、神峰君が純怜に今やっていることって、息できないくらい胸キュン物よね?」
「うん、見てるだけで照れるんだけど。」
「彼はそれを分かっててやってるように見えるんだけど…絶対わざとよね、あれ。」
「あの2人付き合ってんの?」
「いえ、何も聞いてないわ。
あそこまで仲が良いとは思わなかった。
純怜、照れたらああなるのね。」
「純怜が、顔真っ赤にしてるところ初めてみた。」
「あの子、恋してると、いつもよりずっと可愛いわ。相変わらず、言動は残念だけれど。」
「ほんと、残念。」
電話相談だけで、あんなに純怜の演技が変わるなんて思ってなかったから、ホッとした。
しかも、なぜか神峰君もノリノリだし。
本当にあのお方の身になにが起きたのでしょう。
まぁでも、これで本番もきっといい舞台になるわ。
「 あの2人、はやくくっついてくれないかしら。」
毎日が楽しくなりそう。