「……相変わらずだってみんな2人のこと言うけど、本当だな……」

溺愛男と鈍感美少女が、目の前で朝からイチャイチャ大騒ぎ登校している。
どうして引っ張るの~! 青葉さん置いて来ちゃったよ? っと騒ぐ彼女に、お前は俺が連れて行かないとなぁ、と笑う瀬田君。

やれやれ、とあたしは驚いて止まってしまっていた足をまた動かした。

「今年度ものっけから相変わらず、だな」

「朝からげんなり顔でどうしたの? うみちゃん?」

「あ、愛ちゃん」

通学中、正門前で親友の愛ちゃんに会った。
校舎前の大きな桜の木から、はらはらと花びらが待っている。

愛ちゃんの頭についた花びらを一枚とってあげながら、一緒に教室に向かう。
歩きながら、さっきの出来事を話す。
甘すぎてもうね、と。

「ああ、立花さんと瀬田君ね……。
さっきわたしも見かけたよ。
本当、相変わらずだよねぇ」

「だよなぁ」

あたしと愛ちゃんは、あの二人を思い浮かべて顔を見合わせて笑った。