鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集

俺は慌てて美空をキャッチした。
たこの着ぐるみ付きで。

「仕方ないな、もう」

美空の無事を確認して、それから手を取って立たせてやった。
着ぐるみを脱がせると、シャツにジーンズ姿の美空。
汗だくで、着ぐるみって本当に大変なんだな、としみじみ思った。
知っていたら、こんな思いさせなかったのに。
俺はカバンの中からタオルを取り出し、美空の汗を拭った。

「ご、ごめんね? ありがとう」

汗を拭われながら、おずおずとお礼を言う美空が可愛い。
やっぱり可愛い。

「あー、またいつものようにイチャイチャと」

見慣れたけどね、と苦笑いを浮かべる鈴木に、スタッフが「え、これ普通?」と動揺している。
よそのカップルがどうだかは知らないが、俺と美空にとっては普通だ。