手にしたメニューを落とす女性に、「大丈夫ですか?」と、瀬田はメニューを拾い上げて再度渡した。
が、女性はそれを受け取らなかった。

「あ、あの、今日はやっぱり、いいです……」

瀬田は、ふらふらと店を出て行く女性を不思議そうに見送っていた。

「じゃあ瀬田君、これお礼!
彼女と二人で食べてね! じゃあね!」

「え? ああ、はい……」

女性に続き、二人組取材班も慌ただしく店を出て行った。
瀬田は、押し付けるように渡された紙袋を手に戻ってきた。

「ああ、うちの店の看板イケメン瀬田に彼女がいるとなると、やっぱり女性客が減るな……。
もったいないなぁ……。
彼女いること、隠せ……ないかぁ……」

店長は言いながら事務所へ戻っていった。