鈍感ちゃんと意地悪くんの短編集

「いらっしゃいま……!」

お客様は軽く俺に頭を下げて、それから俺の隣を見つめた。
昨日、瀬田を呼びつけていた女性だ。

「いらっしゃいませ、お席にご案内致します」

瀬田は営業スマイルを貼り付けて、メニュー片手に女性の案内に動いた。
あいつ、さっき話してた女性だとは気づいていないな?
って、当たり前か。

何、言われるんだろう……?
俺は気になって、仕事をしながらチラチラと瀬田と女性客の様子を伺っていた。

案内された席に座り、メニューを受け取った女性は下がろうとする瀬田を呼び止めた。
女性はもじもじしつつ、意を決したように瀬田に話しかけた。