恋より先に愛を知る




家に着くと、
お母さんが車のエンジンをかけて待っていた。


急いで支度をすると、
助手席に乗ってシートベルトを締める。


「もう大丈夫?」


「うん」


「じゃあ、出発!」



お母さんに連れられて、
私は病院へと向かった。




病院は相変わらず、苦手。


だけど今日は
ちょっと違う緊張感を胸に抱えていた。



「望月さん、どうぞ」


診察室に通されて扉をあけると、
いつものように先生が私を待っていた。


「こんにちは、望月さん」


「こんにちは」


「やっぱり、声が出るのはいいですねえ」


「はあ・・」



うん、何度通ってもこの先生は苦手だ。


相容れないタイプなんだろうなって、
ぼうっとそんなことを考える。



私が椅子に腰を下ろすと、
先生は単刀直入に聞いた。



「その後、調子のほうはどうですか?」


「はい」








私は先生に、全てを話した。


最近になって悪夢や幻覚を見ること、

情緒が不安定なこと、

そして、あの決意のこと。


先生は私が話し終えるまで、
じっと黙って聞いてくれた。



私が話し終えると、
先生はにこっと私に笑いかけた。




今までで、一番充実した
カウンセリングになったような気がした。