恋より先に愛を知る




海斗と合わさる視線。


海斗は私の頭を軽く小突くと、
少し微笑んでからいつもの憎たらしい顔に戻った。


「見かけによらずってなんだよ。
 どっからどう見てもいいやつだろ」


「はい?あんたみたいなチャラチャラした高校生、
 どっからどう見ても悪いやつにしか見えませんけどー?」



「言ったな?」


「ちょっと、触るなって言ってんじゃん!」


「うるせえ。俺を怒らせるから悪いんだろ」


頬をつねってはひっぱる動作をする海斗は、
出会った頃のやんちゃな海斗だった。


私はそんな海斗を制して、それから口を開いた。


「あんた、まだ高校生なんだから。
 もっと普通の子を好きになりな。

 あたしみたいな面倒なのじゃなくてさ。
 もっと可愛くて元気な子、いっぱいいるでしょ」


「なんだよそれ」


「あと、“葵”ってあんまり私の前で
 その名前呼ばないでくれる?
 ちょっと軽くトラウマなのよ」


「あ?もしかしてそいつの元カノとか?」


「・・・あんた、核心ばっかついてくるから嫌い」



気づけば私たちはいつものようにからかい合い、
お互い一定の距離感を保って会話をしていた。


海斗は私の言葉に大きく笑うと、
急に真剣な顔をして私の肩をつかんだ。


「あんたが30歳になってもまだ一人だったら、

 俺がもらいにいくかんな」


「海斗、私は・・・っ」


「重く考えんなよな。お前の決心もわかってるつもりだし。
 だからさ、こんなやつもいるんだから、
 安心してぶつかってけってこと」



海斗は満足げに笑うと、一つ大きく息を吸った。


「それまでお前のこと好きかはわかんねえけどな」


「なにそれ」


「はは。だから笑ってけよ?
 今日は大事な日なんだろ?頑張ってこい」


「うん・・・海斗、ありがとう」


私は海斗に向けて、精一杯の笑顔を見せた。


どれくらい笑えていたかはわからないけど。


思えば海斗との出会いだって、
私には必要だったのかもしれない。


海斗にも、私との出会いはきっと、
必要だったのかもしれない・・・。