もう2度と、戻れない恋―
私たちは同志のはずだった。
それなのに私たちはどうして、
傷つけあうような言葉を探してしまうんだろう。
人から好きだと言われることのない私にとって、
海斗の気持ちは嬉しいはずよ。
だけど私が欲しいのは、彼からの言葉。
俺が幸せに?
私の幸せって何?
誰も知らない。
私だけが知ってる、私の幸せ。
私の幸せは、彼以外にあり得ない。
「無駄じゃないもん・・・」
「あっそ。じゃあそうやってそいつに言えばいいじゃん。
“私はあなたが好きになってくれなくても
ずっと好きだよ”って、さっさと伝えれば?」
「嫌だ」
「なんで」
「そんなことしたらあの人の邪魔になるもん。
あの人が夢に向かって進むには
私はいちゃいけないんだもん」
「はあ?なんだそれ。さっさときっぱり振られろよ。
そしたら吹っ切れるだろ。そしたらさ・・・」
「私は・・・私は・・・っ!」
「全く、お前たちはまだまだ全然、青くさいガキだな」
「え・・・?」
じっちゃんの声が私の声を遮った。
「海斗、お前は馬鹿か。みっともなくて情けない。
そしてあんたぁ・・・そりゃ恋じゃないなぁ」
海斗を軽く一瞥するじっちゃんは、
私に目を向けてそう言った。
「教えてやろう。それが恋じゃなけりゃあ、なんなのか」
「・・・・」
「あんたぁ、そりゃあ“愛”だ」
その言葉に、私の頬を涙が伝った。


