あれから一週間が経って、
また通院のために町へと出る。
なんだろうな。
この胸のモヤモヤを解消するための通院なはずなのに、
ここに来るとより一層モヤモヤが色濃くなる。
次の通院までにリズムを整えると、
通院日にガタガタに崩される。
これが、精神科医の腕なのね。
おかげで先生とは毎回喧嘩。
これじゃあ先生のほうが
病んでしまうんじゃないかってくらい。
もう夏も終わりなのに、
今日は陽射しが真夏のように厳しかった。
眩しくて目を細めながら歩き出すと、
私の肩を誰かが叩いた。
「あかね?」
その声に振り返ると、
少し汚れた作業着を着た男が立っていた。
どこか見覚えのあるような、
でも思い浮かばない・・・。
考え込むと、その男は大きく笑い出した。
「うっそ、覚えてねぇの?俺だよ、
瀧澤洋二!クラス一緒だったじゃん」
瀧澤洋二・・・。あ、洋ちゃんか。
洋ちゃんは中学の時の同級生。
何かと付き纏われて大変だった記憶しかないもんだから、
すっかり忘れてた。
よっぽど忘れたかったってことかな。
「こんなとこでどーした?都会っ子、
やってたんじゃなかったっけ?」
洋ちゃんが私をからかうようにそう言い、
私の頭に手を伸ばした。
洋ちゃんが、中学の頃によくやる癖。
くしゃくしゃーって、私の頭を撫でる癖。
何も変わらないはずだった。
あの頃から、慣れっこだったはずだった。
髪にその手が触れた瞬間、
私は勢いよく洋ちゃんの手を払いのけていた。


