恋より先に愛を知る




いつもの昼下がり。


私はケータイを真剣に眺めていた。


ピロリン、と音がして、画面を見つめる。


それは大学の先輩からの一報だった。


〈あかねちゃん!日にちと時間、わかったよ!〉


≪本当ですか!?ありがとうございます!!≫


嬉しさとドキドキが込み上げる。


11月1日。夕方。


私は画面を何度も何度も確認するように眺めた。


「なーに見てんの?」


声がして、ぱっと後ろを振り返る。


首元からケータイを覗き込むようにしていたのはカイトだった。


【ちょっと、覗かないでよ。それと、近いから】


私がすかさずメモを見せると、カイトは大きく笑った。


「うっそ。まだ人見知りかよ。長げぇなあ!」


【人見知りとか違う。男が嫌なだけ】


「男で傷ついたなら男で治す、だぞ?」


なんて言うんだろ。


いっつもいっつも!カイトはしつこい。


せっかく先輩とのLINEでほっこりしてたのに・・・。


【私、もう帰るから】


「また歩くんか?」


【悪い?】


「いーや。じゃあ俺も」


歩きだした私の隣を
ぴったりとくっついて歩きだすカイト。



本当に、私はこのくっつくのが嫌いなの。


触れられただけで吐き気がするくらい。


さっと少し距離を空けるのに、
カイトはその空いた距離を詰めてくる。


空けて、

詰めて、

また空けての繰り返しをすると
私が道路に飛び出してしまう。



【殺す気?】


「あかねこそ。死ぬ気?
 だからこっち側いろって言ってんだろいつも」


【いつも?私だってついてくるなって
 いつも言ってるよね??】


いつもこんなやり取りばっかり。


話の通じない人って嫌い。


私はいつしか諦めて軽くあしらう程度になっていた。