恋より先に愛を知る




なんでわかるの・・・?


カイトは当たったことがそんなに嬉しかったのか、
笑みを浮かべて楽しそうにした。


「当たった?だってさ、震えてるし」


指摘されて、私は俯いて咄嗟に手を隠した。


それでもカイトは私の顔を覗き込むように
目の前でしゃがみこむと、にまっと笑った。


「いいよ。最初から
 なんとなくそんな感じはしてたし」


意外と。


意外にもカイトは勘が鋭い。


高校生のくせに・・・なんて、そんなこと言ったって
18と19じゃさほど変わりはないんだけれど。


【なんで?】


「その格好。
 趣味・・・じゃなさそうだしさ」


まるで少年のような服装。


それをじっと見つめて、カイトはふわりと、
首もとのリングに手をかけた。


「これ、カレシから?」


【特別な人から。彼氏じゃないよ】


「ふうん」


カイトの手を払うと、
リングは音を立てて胸にあたる。


また、ズキリと傷が痛む。


こんなのさっさと捨てればよかった。


こんなふうに傷になるなんて思ってもいなかったよ。


いつまでも未練多らしく持っていても、
仕方ないのに。


あの人はもう、身につけてなんかいないのに。


「なぁ。海、行かねえ?」


カイトの言葉に、私は首を傾げる。


海?本当に唐突だね。
なんでいきなり海になんか・・・。


しかも何でこんなやつと行かなきゃいけないのよ。


【嫌】


「って言うと思った。でもさ、
 こういう時は気分転換にいいんじゃないの?」



カイトは「ん!」と私に背を向けてしゃがんだ。