「どうぞ~。いいよね?……ほら、郡くん、いつまでも泣いてない!あいかわらずウェットだねえ。」
中沢さんは、郡くんからアルバムを取り上げて、学生くんにページを開いたまま手渡した。
学生くんはアルバムを受け取ると、あどけない桜子の笑顔を見て、ほほ笑みを浮かべた。
「……かわいいですね。桜子ちゃん?」
「ええ。ありがとうございます。」
俺はいつも通り、デレた。
でも、ページをめくった学生くんは、なっちゃんがウェディングドレスで大口開けて笑ってる写真を見て、固まってしまった。
しばらくジーッと見て、彼は俺を見て、ため息をついて見せた。
「お美しい奥様ですね。マスターもかっこいいし。桜子ちゃんは美人になりそうですね。」
俺が返事する前に、常連さんが横から口を挟んだ。
「前、めくってみ。セーラー服のなっちゃんも、綺麗やで~。」
学生くんは、言われるがままにページを繰った。
中学・高校・大学・離婚後、そして現在。
「……今が一番幸せそうな笑顔ですね。」
そう言って学生くんは、かすかにほほ笑んだ。
学生くんは、アルバムを俺に返した。
「ありがとうございます。」
顔は笑顔なのに、違和感を覚えた。
けど、俺が受け取る前に、再び中沢さんが奪い取った。
「ほら!ほらほらほら!夏子さんのセーラー服!ほら!」
「もうわかりましたから!」
「ダメ!郡(こおり)くん、現実を直視してない!ちゃんと見て!こーんな頃から夏子さんはマスターが好きだったってことでしょ?」
中沢さんは、そんな風に嬉々として郡くんを虐めて遊んでいた。
気恥ずかしくて、俺は黙ってコーヒーを入れる。
代わりに常連さんが好き勝手言ってる。
「そうや~。よぉ、そこの窓からマスターを見てたなあ。」
「ココで、マスターがプロポーズしたのに、なっちゃんが断っちゃったこともあったわねえ。」
「だいぶ長いこと同棲しとったなあ。」
などなど、耳をふさぎたくなるような過去を暴露されてく。
実際に、郡くんは涙目で耳をふさいだ。
……お気の毒。
嫌いで別れたわけじゃないのに……そんな昔の話、聞きたくも知りたくもないよな。
いたたまれず、俺は中沢さんからアルバムを取り上げた。
「はい、おしまい。もう、やめてあげてください。郡さん、すみません。お耳汚しで。」
俺は郡さんにそう謝ってから、アルバムを大事に抱きかかえた。
「……いえ。夏子さんが幸せなら、それでいいです。」
しょんぼりと、でも、最後はほほ笑んで、郡さんはそう言ってくれた。
イイヒト……なんだよな、本当に。
すごくよくわかったよ、なっちゃん。
俺はアルバムを棚に戻し、もう一度頭を下げてから、コーヒーを出した。
「どうぞ。」
中沢さんは、郡くんからアルバムを取り上げて、学生くんにページを開いたまま手渡した。
学生くんはアルバムを受け取ると、あどけない桜子の笑顔を見て、ほほ笑みを浮かべた。
「……かわいいですね。桜子ちゃん?」
「ええ。ありがとうございます。」
俺はいつも通り、デレた。
でも、ページをめくった学生くんは、なっちゃんがウェディングドレスで大口開けて笑ってる写真を見て、固まってしまった。
しばらくジーッと見て、彼は俺を見て、ため息をついて見せた。
「お美しい奥様ですね。マスターもかっこいいし。桜子ちゃんは美人になりそうですね。」
俺が返事する前に、常連さんが横から口を挟んだ。
「前、めくってみ。セーラー服のなっちゃんも、綺麗やで~。」
学生くんは、言われるがままにページを繰った。
中学・高校・大学・離婚後、そして現在。
「……今が一番幸せそうな笑顔ですね。」
そう言って学生くんは、かすかにほほ笑んだ。
学生くんは、アルバムを俺に返した。
「ありがとうございます。」
顔は笑顔なのに、違和感を覚えた。
けど、俺が受け取る前に、再び中沢さんが奪い取った。
「ほら!ほらほらほら!夏子さんのセーラー服!ほら!」
「もうわかりましたから!」
「ダメ!郡(こおり)くん、現実を直視してない!ちゃんと見て!こーんな頃から夏子さんはマスターが好きだったってことでしょ?」
中沢さんは、そんな風に嬉々として郡くんを虐めて遊んでいた。
気恥ずかしくて、俺は黙ってコーヒーを入れる。
代わりに常連さんが好き勝手言ってる。
「そうや~。よぉ、そこの窓からマスターを見てたなあ。」
「ココで、マスターがプロポーズしたのに、なっちゃんが断っちゃったこともあったわねえ。」
「だいぶ長いこと同棲しとったなあ。」
などなど、耳をふさぎたくなるような過去を暴露されてく。
実際に、郡くんは涙目で耳をふさいだ。
……お気の毒。
嫌いで別れたわけじゃないのに……そんな昔の話、聞きたくも知りたくもないよな。
いたたまれず、俺は中沢さんからアルバムを取り上げた。
「はい、おしまい。もう、やめてあげてください。郡さん、すみません。お耳汚しで。」
俺は郡さんにそう謝ってから、アルバムを大事に抱きかかえた。
「……いえ。夏子さんが幸せなら、それでいいです。」
しょんぼりと、でも、最後はほほ笑んで、郡さんはそう言ってくれた。
イイヒト……なんだよな、本当に。
すごくよくわかったよ、なっちゃん。
俺はアルバムを棚に戻し、もう一度頭を下げてから、コーヒーを出した。
「どうぞ。」



