カフェ・ブレイク

「ありがと。れいちゃん、喜ぶわ。……でもね、あの……」

意を決して続けた。

「私には、2人が惹かれ合ってしまったら止めることも邪魔することもできないんだけどさ……なるべくそうはならないといいなあ……なんて……都合のいいことを言ったら、わがまま?」

義人くんはキョトンとして私を見てから、ふっと笑った。
「わがままやな。でも、そのわがままは、俺的にはOKやわ。……夏子さんにしては、がんばって素直な気持ち、言葉にしてくれて、ありがと。」

そんな風に言われて、私はさらに恥ずかしくなって、何も言えなくなってしまった。

……やっぱり君には敵わないわ。



クリスマスイブの真夜中、キャンドルを持って義人くんが訪れた。
「まるで提灯みたいね。」
「いいやろ。雰囲気あるし借りてきた。教会のキャンドルサービスめちゃめちゃ綺麗やったで。夏子さんも来たらよかったのに。」

学園の系列の教会でクリスマスミサに参加してきた義人くんは、何となくいつもよりはしゃいで見えた。

「やーよ。どうせ君、女の子と一緒でしょ?見たくない。」
義人くんは、ふっと笑って、私のまぶたや頬、額、そして唇にキスを降らせた。

「週末からずーっと掛け持ちしまくりで大変やったわ。最後にやっと夏子さんのとこに帰って来れた。冬休みはゆっくりしよー。」

……相変わらずお盛んですこと。
悪びれない義人くんに苦笑して見せた。

「キスマーク、また付けられてる。」
いったい、どんな女の子と付き合ったら、こんなにもあからさまなことをされるんだろう。

義人くんは、首の後ろや、脚の付け根に小さな痕を付けられていることが多かった。
背中の爪痕よりも確信犯的なこの挑発も、義人くんにとってはどうでもいいことらしい。

「夏子さんは?……俺のマーキングだけかな~。」
私から下着を剥ぎ取りながら、義人くんは毎回けっこうマジにチェックしているようだ。

「当たり前でしょ。」
義人くんは、いまだに私と要人(かなと)さんの仲を疑っているらしい。
……しつこい。

「夏子さん、お正月は?実家?」
ひとしきり愛し合った余韻の中、義人くんが聞いた。

「うん。母のところに何泊か。義人くんは?」
「うちは客が多いから、正月はずっと自宅待機。夜中に抜け出して来るつもりやってんけど……実家、どこ?」

……ちょっと返答に困った。
私は今まで、義人くんに家のことや、過去についてあまり話して来なかった。
いずれお別れするという前提があるからかもしれない。

まあでも、離婚の時に母の婚家を本籍地にさせてもらってるので……それぐらいはいいか、と諦めて返事した。

「今は千里山。」
「……今は?生まれたとこは違うん?」

まだ聞く?