手のひらの擦過傷には、けっこう砂利が入っていたので、かわいそうだけど水道水でごしごしとこすって洗い流してもらった。
「で、このフィルムをぺったり。」
ついでに腰と右頬に湿布も貼って、唇には消毒液。
「とりあえずこんな感じ。コーヒー飲む?」
俺は救急箱を片付けながらそう聞いた。
「後で。これ、半分どうぞ。」
頼之くんは、スポーツバッグから大きな包みを出してきた。
「なに?」
「母が大量のおにぎりを作ってくれたんです。体が大きくなるようにって。急にこんなに喰えんし。」
……確かに、すごい量のおにぎりが出てきた。
1,2,3……10個!?
「3合だそうです。あの人、ほんと、極端で。」
照れくさそうに頭をかく頼之くんに、俺も苦笑で返した。
「いや、すごいね。じゃ、ご相伴にあずかっていいの?ありがとう。」
何気なくおにぎりを一つ手に取った。
サランラップに包まれた白いおにぎり……海苔はないのか。
「いただきまーす。」
パクッと一口……うん、塩がよく効いてる。
てか、中に具がない。
海苔も具もない、塩むすび?
「……もしかして、何も入ってませんでした?」
たぶん俺は、変な顔をしてしまったのだろう。
頼之くんがニヤニヤ笑いながらそう聞いた。
「うん。塩は効いてたけど。」
ん?
頼之くんの食べてるおにぎりには、ちゃんと梅干しが入ってる!
「ロシアンルーレットなの?」
「てか、単に入れ忘れただけだと思います。……よくあるんですよ。今日は海苔も付け忘れたみたい。」
……真澄さん……。
けっこう、ぼんやりした人なんだな。
「かわいいな。」
ほほ笑ましく感じながら、塩味だけのおにぎりを頬張った。
「……あばたもえくぼ、だと思うよ。いや、かわいらしい人だとは思うけどさ。」
頼之くんの言葉は、自分の母親のことを言ってるようには聞こえなかった。
「いいんだよ。よくよく考えたら、俺、真澄さんの手料理、はじめていただいた気がする。幸せを噛みしめていただくよ。」
しかも、おにぎりって、ますみさんの手が直に握ったんだよな。
やばい。
マジで幸せかも。
「……俺の父親が一緒に暮らしてるヒトは?しっかりしたヒト?料理、焦がしたり、味付け忘れたりしないヒト?」
しばらくしてから、頼之くんが鮭のおにぎりを囓りながらそう聞いた。
……正直に言っていいのかな。
「しっかりはしてない。うるさくてわがままな女。料理も下手くそ。」
いつも通り、顔をしかめながらボロクソ言ってしまた。
頼之くんは、キョトンとしていた。
「マスター、そのヒトのこと嫌いなんだ。」
「嫌いじゃないよ。幼なじみだし。でも……」
俺は、2つめのおにぎりに手を伸ばし、大きな口を開けて囓ってみた。
中には塩昆布が入っていた。
ほっとしつつ咀嚼して、口の中が空いてから言った。
「真澄さんと頼之くんから小門を奪ったことは一生許せない。」
「で、このフィルムをぺったり。」
ついでに腰と右頬に湿布も貼って、唇には消毒液。
「とりあえずこんな感じ。コーヒー飲む?」
俺は救急箱を片付けながらそう聞いた。
「後で。これ、半分どうぞ。」
頼之くんは、スポーツバッグから大きな包みを出してきた。
「なに?」
「母が大量のおにぎりを作ってくれたんです。体が大きくなるようにって。急にこんなに喰えんし。」
……確かに、すごい量のおにぎりが出てきた。
1,2,3……10個!?
「3合だそうです。あの人、ほんと、極端で。」
照れくさそうに頭をかく頼之くんに、俺も苦笑で返した。
「いや、すごいね。じゃ、ご相伴にあずかっていいの?ありがとう。」
何気なくおにぎりを一つ手に取った。
サランラップに包まれた白いおにぎり……海苔はないのか。
「いただきまーす。」
パクッと一口……うん、塩がよく効いてる。
てか、中に具がない。
海苔も具もない、塩むすび?
「……もしかして、何も入ってませんでした?」
たぶん俺は、変な顔をしてしまったのだろう。
頼之くんがニヤニヤ笑いながらそう聞いた。
「うん。塩は効いてたけど。」
ん?
頼之くんの食べてるおにぎりには、ちゃんと梅干しが入ってる!
「ロシアンルーレットなの?」
「てか、単に入れ忘れただけだと思います。……よくあるんですよ。今日は海苔も付け忘れたみたい。」
……真澄さん……。
けっこう、ぼんやりした人なんだな。
「かわいいな。」
ほほ笑ましく感じながら、塩味だけのおにぎりを頬張った。
「……あばたもえくぼ、だと思うよ。いや、かわいらしい人だとは思うけどさ。」
頼之くんの言葉は、自分の母親のことを言ってるようには聞こえなかった。
「いいんだよ。よくよく考えたら、俺、真澄さんの手料理、はじめていただいた気がする。幸せを噛みしめていただくよ。」
しかも、おにぎりって、ますみさんの手が直に握ったんだよな。
やばい。
マジで幸せかも。
「……俺の父親が一緒に暮らしてるヒトは?しっかりしたヒト?料理、焦がしたり、味付け忘れたりしないヒト?」
しばらくしてから、頼之くんが鮭のおにぎりを囓りながらそう聞いた。
……正直に言っていいのかな。
「しっかりはしてない。うるさくてわがままな女。料理も下手くそ。」
いつも通り、顔をしかめながらボロクソ言ってしまた。
頼之くんは、キョトンとしていた。
「マスター、そのヒトのこと嫌いなんだ。」
「嫌いじゃないよ。幼なじみだし。でも……」
俺は、2つめのおにぎりに手を伸ばし、大きな口を開けて囓ってみた。
中には塩昆布が入っていた。
ほっとしつつ咀嚼して、口の中が空いてから言った。
「真澄さんと頼之くんから小門を奪ったことは一生許せない。」



