カフェ・ブレイク

お昼前に家を出ると、まずは俺の店へと向かった。
念のために救急箱をチェックする。

……俺の部屋のよりはマシだったが、それでも、飲み薬も消毒液も消費期限を切れているものが混ざっていた。

必要なものをメモして、国道沿いの少し大きなドラッグストアを目指して歩き出す。
中学校のグランドが見えてきた。
ゴールデンウィーク最終日だけど、ぱっと見ただけでも、野球部・サッカー部・陸上部・テニス部あたりが練習をしているのがわかった。

頼之くん、がんばってるかな~。
サッカー部は……あれ?
ぞろぞろと解散していく。
……そういや、お昼前か。

1年生らしき子たちが、ボールを片付け始めた。
その中に、頼之くんもいた。
が、頼之くんは、1人で残って練習を続けるつもりらしい。

がんばってるなあ。
でも……大丈夫か?
目立つことをして、たちの悪い先輩の反感を買わないといいけど……。


そんな風に思いながら中学校を通り過ぎて国道に出た。
ドラッグストアでなるべく消費期限の長そうな薬を買いそろえる。
なっちゃんの言うところのフィルムもいろんな大きさのものを何枚かずつ購入した。
包帯は……いらないか。

ふらふらしてると、営業の女性に捕まってしまった。
滋養強壮剤やプラセンタ液を勧められ、試飲し、サンプルをもらって、やっと店を出た。

国道を左折して、マンションを過ぎると中学校……なのだが、ちょうどマンションの塀と中学校の生け垣の見通しの悪いところから幾人かの中学生が出てきた。
やんちゃそうな面構えと、ナイキのスポーツバッグ。
頼之くんが持ってたものと同じ……こいつらも、サッカー部?

彼らの笑い声が遠くなって行くと、かすかに呻き声のようなものが聞こえた。
……犬や猫……じゃないよな。
まさか……

生け垣の隙間に身を滑り込ませて、フェンス越しに覗き込む。
嫌な予感ってのは、当たるんだよな。

そこには、口惜しそうに頼之くんがうずくまっていた。

あーあ。
やっぱり、先輩達にやられちゃったんだ。

見て見ぬふりしようかとも思ったけど、唇にも、手にも血がにじんでるのが見えた。
ダメだ、ほっとけない。

「頼之くーん。立てる-?」
なるべく大声を出さないように、声をひそめてそう声をかけた。

「え!?」
びっくりした顔で、頼之くんがこっちを見た。

「……何してんですか?そんなとこで。」

頼之くんはそう言って、立ち上がろうとして顔をしかめた。