家に帰ってからもそのイライラは続いていた。

ー何もわかってないヤツは、嫌いだ。
自分のこと、一番知らないくせに知ったような口調で話すから。
私が唯一、親以外で受け入れるのは、-・・あの人だけなんだから・・。
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              ・
              ・

「・・あ、あの・・」

「何よ。またよけいなことでも言いに来たの?」


今、私の目の前にはあのイライラするヤツが来ていた。
それもわざわざ、教室まで。
周りは私に客だなんていうから珍しそうに見てるし・・。


「あ、あの・・えっと・・」

「何よ。」


そして私は昨日の気分のまま、ツンツンした態度をとっていた。


「昨日はごめん・・ッ」

「・・・え・・」

「オレ、初対面なのにあんな風に言ったりして・・
君の何も知らないのにさ・・・。」


―この人、悪いヤツじゃないかも。
自分の思っていたコト
全てを謝られて、目の前の水野章平を受け入れている私がいた。


「・・・そ。もういいよ、許すから。」


そう言うと水野章平はぱっと表情を明るくさせ、
次にまたおかしなことを言い出した。


「よかった!じゃあ友達になってくれないかな!」

「は?」


私はまた眉間にしわを寄せて目の前でにこにこ笑う水野章平を見た。


「だってさ、せっかくこうして知り合えたんだしさ!」

「・・・・・・。」


正直、かなり迷っていた。
「友達」なんて・・あの時以来だし・・・。・・・あの時・・・。

私がずっとうつむいていると水野章平が急に言った。


「・・・イヤ?」

「え・・・っ」


割とかわいい顔をしている水野章平が、
絶対に断れないような表情で私の顔を覗き込んできた。


「い・・いやってわけじゃないけど・・・」

「じゃあ平気だよね!」