親友くらい恋人




12年前


「りぃちゃん、おいでよ」


にやにやと笑うりなの父親


りなは泣きながら後ずさる



「うるせぇ‼︎」


泣きわめくりなに叫んで

台所から包丁を持って向かってきた




「殺してやる‼︎」

「やめてっ!」



そのとき、りなの前に出たのは

あざだらけのボロボロになったりなの母親だった


確か、父親は酒を飲んでいたはずだ


包丁を突き刺したまま叫び声をあげながら走っていった



俺らはそこに取り残された


血を流しながら倒れるりなの母親を眺めていた


その日はこの前と同じ雨が降って

暗く、それを雷が照らしていた