「……で、なーんでそれで好きになっちゃうのさ!」
「だ、って……自分でもまだよくわからないけど」
そう。
好きに、なっちゃったのだ。
具合が悪いところを偶然見つけてもらって、保健室に連れていってもらって、お礼を言ったら思いの外心配(?)してくれて。
たったそれだけ。
それだけなのに。
完全に前までの感覚で彼を見ていない自分がいて。
今までにないくらいに神口理玖くんに興味津々だ。
それを早々と自覚したわたしは、その日の放課後に暖ちゃんに包み隠さずご報告。
なんでそれで好きになるかって……?
だから、わからないんだよ。
敢えて言うならば、ギャップ萌え……とか言うやつなんじゃないかな。
確かに口調は常に一定で、表情も崩れないし、まあ噂通りの人だけど。
……ちゃんと、優しい人なのかもしれない。
って思っちゃったわたしはもう止められない。
気になってしまったらもう手遅れで、落ち着かない。
今までなら本当に気にしなかったのに、どういうわけだか毎日目で追うようになって。
(ただし、これといって面白いことは起きない。
なぜなら彼はほぼ同じようなことしかしないから。)
少しでも近くにいたいと思うようになって。
(でも、すれ違うときに意識しちゃうくらいの話で。)
それでも少しの間は、見ているだけで満足していた。

