それは進級してわりとすぐのこと。


実は具合が悪いのに学校に行ってしまったわたしは、いつも元気が取り柄とはいえ、さすがにお昼休みのときには本格的に不調だった。


一人でトイレに行って帰ってくるとき、ぐらっとふらついて思わず床にペタリ。



頭が動かず、現状把握に時間がかかったわたしは動けずにいた。



するとそのとき。



「……おいっ、大丈夫かよ?」



真上から声が聞こえてきて。



誰だろう、なんてぼやっとしている間に手を引かれて保健室に来ていた。


なんとか歩けたことに感動しつつ、すぐにベッドに横になったわたし。


そのとき保健室の先生と話す声を聞いていてそのときやっと、同じクラスの神口理玖だということに気づいた。


無愛想でそこそこ有名な彼が、どうして優しいの……。


そう疑問に思ったけれど、考えられるはずもなく目を閉じた……。




その日はそのあと結局早退をして、翌日は学校を休んだ。