そんなわたしは、なにかあるごとに理玖くんに話しかける。
「ねえ、次移動教室だね!」
「理玖くんはお昼ご飯なーに?わたしね、今日は卵焼き成功したの!」
「見て、髪アレンジしてみた!」
とにかく、押して押して押しまくれ精神。
周りの子たちは最初の頃はいろいろ言ってきたけど、もうなにも言わなくなった。
暖ちゃんはいつもじぃっと見ている。
……で、当の本人の反応というと、、
「うん。」
「へぇー。」
「あ、そ。」
だいたいは、この3択のうちのどれか。
しかもどれも真顔で。
まあかっこいいから許すし、そんなところが好きなわけだけど。
欲を言えば、もうちょっと表情豊かなところも見たいな、なんてね。
例えば笑ってるところなんて滅多に見ない。
あー……この前の昼休みお友達とサッカーしてるとき、笑ってた。
この4階からだったけど、そりゃもうばっちり見ましたわ。
よっぽど、サッカーが好きなんだろう。
そんな彼のことが、わたしは気になって仕方がない。
だってあのとき、一瞬で恋に落ちちゃったんだから。