彼の腕が、私の頭から肩、背中にまわされると、自然と強ばっていた唇が呼吸を取り戻した。 どちらからともなく、唇が触れる。 彼の鼓動が腕を伝って、私の鼓動と同じリズムを打っている。 世界から音が消えて、彼と私の鼓動だけが響いていた。 惜しむように唇が離れ、彼の胸に顔を埋める。 それに応えるように強く抱きすくめられて、私はただ、幸せだと思った。