そのまま、何も反応できないでいる私を立たせて、壁まで追い詰められる。


松田さんの吸い込まれそうな濃い瞳しか目に入らない。


両方の肩は、痛いのと痛くないのの中間の強さで掴まれ、すぐに行き止まりになった。





「嫌?」





冷たいコンクリートを背中の全面で感じながら、一言。


短くて、吐息を吐くように発せられた言葉は、質問だったのか、ただの息なのかわからなかった。





私はもう行き止まりなのに、松田さんはまた一歩踏み込んだ。


壁に両肘をついて、僅かな空間に閉じ込められた私は窒息しそうだった。