パソコンに入力して完了、というところまで来た。
今回は景品の個数の変動が大きかったから、なかなか骨が折れた。
同じ姿勢でばかり作業していたためか、首の骨が軋むような感覚がある。
「手伝ってくれてありがとうございます」
パソコンの操作を始め、マウスに手を添えると、また松田さんの手が重なってきた。
私の言葉に返事はないし、前みたいなそっとした手つきではない。
事故と大差ないような一瞬の出来事ではない。
反射的に逃れようとする私の右手を抑え込むように、大胆にしっかりと握られていた。
さらに後ろからはぐをするように、松田さんは左手で数字を入力していく。
もう私は全く操作していなくて、ただ入力する松田さんの胸に抱かれているだけだった。
あえてゆっくりと入力している。
噛み締めるように数値が刻まれていくのを、私は目でおっているだけだった。
遅いとも、早いとも言えない時間が過ぎ、淡々とデータが保存された。
