「さぼりじゃないですよ。ちょっと休憩です。」
朝の仕返しをしてやったぞ、といわんばかりにどや顔をしてみる。
松田さんは吹き出して笑ってくれた。
いつも綺麗な笑顔でいるから、すこし崩れた純粋な笑顔に、心がほぐれる。
隣に腰を降ろして、松田さんも息をついた。
右に15センチ。
一番身動きが出来ない距離だな。
これ以上近づくと、私が何かを進めてしまうし、離れるのには惜しい距離だった。
ただ隣に座るだけで、動きを封じ込めてしまうことに、憎らしさも感じる。
「ひとくちちょうだい?」
特に私の許可は得ていないけど、松田さんはハスカップのボトルに口をつけた。
