「寧々?」
はっと驚いて顔をあげる。
すっかり気を抜いていた。
もうクラスメイトはほとんど揃っていて、このクラスも多少活気が出てきたように感じる。
「泪じゃん!ここだったの!」
私を見て目をまるくしていたのは中学の同級生だった。
生馬 泪 (いくま るい)
私よりももっと偏差値の高い高校を目指している、私の中学のエリートで、なにより美人な彼女は私の憧れでもある。
寧々?と呼ぶ声が疑問系だったのは、中学時代にメガネをかけていて、ださく髪をまとめていた私が、
人並みにコンタクトと薄めの化粧、長い黒髪の手入れをきちんとしていたので、見分けるのに時間がかかったんだとか。
女子特有の、かわいい~の連呼は普段は嫌だけど、なんだか味方がいる気がして落ちついた。
