金髪子犬がじれったい!



Eのコースにはもう、メンバーが揃っていた。


「寧々ちゃんもEなの?!」


笑顔で駆け寄ってきた広野君と、

帽子をとった髪がぺしゃんこな、リーブ君

コミュ症だけど英語だけは点数がいい、ジョン君




もちろん二人はあだ名だ。

本名を思い出すのに少し時間がかかるだけ。




「お菓子なんてどうでもいんですけどねー。
それより現金がほしいよ僕はー。」


ぼやきながらリーブ君は、美しいカーブを描いてストライクをした。


ジョン君も無言で、破壊力バツグンにストライクを決める。
ピンが隣のレーンまで跳んでいくかと思った。


広野君も、緊張するなぁ、とか言いながらもあっさりとストライク。




「あれ。圧勝ですかねぇ。」



ごめんねリーブ。

余裕の笑みを浮かべたリーブ君を尻目に、ボールを持つ。



勢いよく助走をつける。

でも、ボールを離すタイミングを逃して、結局立ち止まって投げた。




上手く指から抜けないボールにつられて、膝をつく。

レーンはなんだかぬるっとしていて、ボールは2メートル進んだあたりでコトン、といった。





「寧々ちゃん!大丈夫だよ!!」


眉を八の字にして戻ってきた私に、広野君が一生懸命言ってくれる。



「や、このくらい下手だと僕らも頑張りがいあるというか」


リーブ君のコメントにジョン君が笑っている。




うん。

いい子達でよかった。