金髪子犬がじれったい!



「あ、俺…僕も忘れちゃって………」



泪と校長の顔に落書きをしている最中に、後ろから申し訳なさそうな声が聞こえた。





私の左隣の高校デビューの金髪が、眉を八の字にして、子犬のような目でこっちを見ていた。

さっき見た限りでは、柄の悪そうな金髪だったのに、私の制服の裾をちょろっと掴んで、泣きそうな顔をしているのが意外すぎた。



思わずじっと見ていると、聞こえていないと思ったのかもう一度、

「僕も忘れちゃったんだ。
近くの人もみんな忘れてるんだ。」

とちょっと大きな声で言ってきた。

声は低いが、なんだか年下みたいなしゃべり方だ。



特に萌えたり、きゅんとしたりはしないが、なかなかのギャップだ。





仕方なく、泪は他の女子と、私は金髪子犬と資料を見ることにした。