涙が収まった頃、扉が開く音がした。


「……ただいま。」


「…お帰り。」


手には何も持ってなく、行った時のと同じままで帰ってきた遥人。


「玲とは布団に入るんや…」


ボソッと、本当に聞き逃してしまいそうな声だった。


「違う!これは…」


「わかってる!…わかってるよ。俺がお前にあんな事したから……嫌われてもしゃーないし。」


「嘘…」


気づいたらそう言っていた。


「あれ、全部嘘。嫌いって言ったんも……」


真赤な目を遥人の目と合わせる。


「ほんまは……ずっと…遥人が……」


『好き』その二文字か出てこない。


ビビリなうちが、まだおる。


「俺邪魔やから出とくで。」


隣の玲がそう呟き部屋を出ていった。


またさっきと同じ、2人きりだ。