「ごめんね、今日一緒に買えれないの」


「…まじか」


「ほんっとうにごめんね!また今度一緒に帰ろうね!」


「あぁ、わかった」


申し訳なさそうに自分の席に戻る俺の彼女、由希


久しぶりに部活がオフということで由希と一緒に帰る約束をしていたんだけど…


まぁ用事があるんならしょうがないか


不意に前から視線を感じる


そちらの方を見ると、誰もこっちを見ていなかった


お菓子を食べている女子のグループと、話をしているクラスメイト、それから本を読んでいる松坂さんがいるだけで


気のせいかなぁ、とか思いながら5限の授業の教材を取りにロッカーに向かった


だから


「客が1人増えるかな…」


という呟きは聞こえなかった