『……くせに』
「え？」
『大丈夫じゃないくせに』
「…っ！」
『俺が気づいてないとでも思ってた？
バレてないって思ってた？
どれだけ長い間、夢ちゃんの声を聞き続けたと思ってるの？』
「（せ、先輩…怒ってる？）」
『怒ってよ。
なんでいつもそうなんですかって、
いつになったら会えるんですかって、
優しすぎるんだよ、夢ちゃんは』
「先輩………。」
『後輩に、彼女に、無理させてる俺なんて
ただの最低な男だろ……』
「そんなことないです！！
先輩は、とても素敵な人です！」
『夢ちゃん…』
「確かに、言っちゃえばいつも思ってます。
また会えないんだって、寂しいなって。
でも、言ったら迷惑かけちゃうから…」
『迷惑なんかじゃないよ。
もっと甘えていいんだよ、ワガママになっていいんだよ。
…ちゃんと、聞かせて？』
「（ああ、すごく泣きそう。）
……次は絶対…会わなきゃ、やです」
『うん。俺も。
絶対、会おうね。大好きだよ、夢ちゃん』
END
