「俺ついに死んじゃったの?」

少年はきょろきょろと周りを見て言った。

「ここどこ?」

先に質問したのはこちらだというのに次々に質問してくる。

このままでは私の質問には答えてくれなさそうなので、仕方なく返答してやることにした。

「ここは夢。あなたは死んでない。…多分」

「えっ、多分なの」

「あと、私天使じゃない。人間」

「よく見ると羽も生えてない…」

いちいちうるさい少年だ。

大体、羽があるかなんて良く見なくてもわかるでしょ、という言葉を飲み込んで改めてこちらが質問する。

「あなた誰」

「俺?俺は…陽!太陽の陽ってかいてヨウだよ!」

「へぇ」

「自分で質問したくせに!」

ぎゃーぎゃーとわめく少年を無視して考える。

なぜ、ココに来れたのだろうか。

「少年、何しにここにきたの」

「名前名乗ったのに少年呼び!?キミも同じくらいの歳じゃん!」

あぁ、本当に話が進まない。

つかれてきた。何で夢で疲れなくてはいけないのだ。

よく考えると、明日の夜にも少年がでてくる可能性は低い。

わざわざ話す必要なんてなかった…。

「…はぁ」

自分の間抜けさにため息をつくと何を勘違いしたのか少年はにっこり笑った。

「やっとキミの名前教えてくれる気になった?」

先ほどから騒いでいたのはそれだったのか。

深く考えていたせいで雑音はカットしていたようだ。

「教える必要はない」

いつの間にか距離を縮めていた少年から顔をそらす。

時間的にもうそろそろ朝だろう。

「うぇっ!?」

少年が変な声を出したので見てみると体が透けていた。

「じゃあね、少年。もうここへは来ないでくれるとうれしい」

私の本音を伝えると少年は驚いた顔をする。

私が冷静なのに驚いたのだろうか。

たが、驚いたのは一瞬で、すぐに笑顔になった。

「またな!」

それを最後に、少年は消えた。

私の言葉は少年に伝わっているのか分からない。

「まぁ、もうあわないでしょ。」

それを最後に私の意識も浮上していった。