「最初から鳴る人なんていないから大丈夫!もう一回やろ!もう一回!ふー!」

「ふー…。」

………

音は鳴らない。

うーんとうなりだしたみやびに、新入生は申し訳なさそうな表情を浮かべた。

「だ、大丈夫!大丈夫!はじめなんてそんなもん!」

「やっぱり、初心者には無理なんですかね…。」
悲しそうな新入生。


「どうしたー。やってるー?」

みやびの背後から現れたのは3年生の先輩、上野舞子だった。

「舞子さん、彼女、仮入部できてくれたんですけどなかなか音が出なくて…。」

「どうやって教えた?」

「こう、ふー!って吹く感じ…ですかね…」

「みやび、それじゃあ鳴らないわ。よし、では私が教えよう。」

新入生は姿勢を正してもう一度頑張ろうという表情を浮かべた。