モナリザの微笑

「大丈夫だよ。山波さん、失敗は誰にでもあることだ。次、頑張ろう」
 そう優しく声をかけたのは学級委員長を務める横矢という生徒であった。大縄に失敗した山波さんは、少し顔を赤らめながら「ごめんね」と謝った。


 すると、たまたま俺の隣にいたあいつが突如クスクスと笑い出したのだ。

「何が可笑しいんだよ。」

普段は薄気味悪い微笑を浮かべたモナリザのくせに、急に笑い出しやがってー

 今日こそ、モナリザスマイルの真相を暴いてやると、意気込んでいると


 「山波さんが大縄に失敗したのはわざとですよ。失敗したら、紳士的な横矢君に優しく声をかけてもらえますからね。だって、彼女、彼のことが好きなんですから。必死に隠しているようですけど、僕には分かるんですよ。人の表情を見ればその人が考えていることが全て分かります。だから、他の人は騙せても僕には通用しないー絶対にね」

と、今まで沈黙が嘘のように話し出したのだ。