それからというもの、俺はあいつをとことん無視し続けた。

 あいつがこっちを見てきても、目を合わさない。廊下であいつとぶつかって向こうが謝ってきても、知らんぷり。
 そんな日々を暫く続けたのだった。


「ねぇ、もうやめたら明星君を無視するの。」

 ある日の帰り道

、そう言ってきたのは、中学時代からの同級生、片原渚だった。

「明星君って、そんなに悪い人じゃないと思うの。だって、私が風邪で休んだ時、席が隣ってだけでノートコピーさせてくれたのよ。」

「それとこれとは話が別だ。」と俺は言った。

 別に俺だってあいつが悪人だと思っているわけではない。生理的に受け付けない。

 あいつの発言が、行動が、全て気に食わないのだ。