俺が初めてあいつを知ったのは、高校3年生のクラス替えの日だった。

 俺の名前は、木村良太。
 とある都立高校に通う、勉強や運動が特別できる訳でも、目立つ容姿をしている訳でもない、ごく平凡な高校生である。
 高3の初日、教室を見回して知っている奴がいるか、苦手な奴がいないよなと確認をしていた時だった、斜め後ろに座っているあいつに目が止まったのは。 少し長めの黒髪に、端整な顔立ち。女子にモテそうな容姿だ。
しかし、他の同級生とはどこか雰囲気が違っていた。

変わった奴だ と一目見て感じた。

 いや、変わっているというのは通り越して明らかに変だった。