「昨日はごめんね。ボクが急に休んだもんだから、遅くまで残ったんじゃないかい」


正門を出て、夕日に背を向けて歩いていると、少し下を向きながら口を開いた。

元気がないように見える原因は、このことを考えていたからだろうか。


「気にしなくていいよ。マネージャーとかあそこの人たち好きだし、少しでも長くいたかったら丁度良かったというか・・・」


最初の一言で終えればよかったものの、下手に励ましや慰めのような言葉をかけようとしたため、途中から自信のない言葉になってしまった。

こんな言葉をかけられても嬉しくないだろうと思いながら、しばらく二人とも無言のまま歩く。


「キミはいつもそうだよね」


「あっ、ごめん。気を悪くしたかな」


彼女の言葉に反射的に謝ってしまった。

そのことに対しても罪悪感のようなものに包まれそうになったが、彼女の笑顔でそれは一瞬にして消えた。


「そんなんじゃないよ。キミはいつもボクに気を遣ってくれて、『ありがとう』ということさ」


お世辞やそういったものかもしれない。



けれども、彼女の笑顔と言葉は嘘や裏というものは一切感じなかった。